ギターは見た目の初心者たち
初心者が楽器店に勝手に?行き、カラフルなフォークギター(スチール弦「鉄弦」のギター)を購入し、その日、1日で、「指が痛〜い!」と挫折する事件?が、近年多発しています。 特に女性の場合、顕著です。小学生の娘がギターを弾きたいというので、と母親と楽器店を訪れ、何も事情を知らない店員から、「今、1番売れているアコースティックギターです!」とフォークギターを勧められて購入。 初心者なので、ほとんどが、カラフルなデザイン、見た目で決定。 しかし、家に帰り触れると、スチール弦で指先が痛い!
恐らくメーカーは、売れてはいるが、購入した、その日で挫折し、そのままギターが何十年も放置されている現状まで調査していないのでしょう。
歌わない人たち
特に、近年は、こうしたフォークギター(1弦~3弦までが鉄弦)を購入したにも関わらず、”歌は歌いたくないです!”という人も多くいます。 そうなると、この人は、ソロギターのジャンルです。
ソロギターとなると、基礎はクラシックギターになります。 クラシックギターとなると、右手の爪を伸ばします。 しかし、右手の爪は、スチール弦のフォークギターでは、すぐに割れたり裂けたりしますから、なかなかフォークギターでは、クラシックギターの練習ははかどりません。
○ガット・ギター[gut guitar] 「いわゆるクラシック・ギター。ガット(GUT)とは、動物などの腸のことで、昔は羊などの腸を材料として弦を作っていたのでこう呼ばれています。現在ではナイロン弦を使用しています。ガットは、テニスのラケットなどにも使用されています。
指先にはめるフィンガーピックというのがありますが、あれは初心者には弾きづらい。上級者向けです。 もしも、フォークギター教室という教室があったら、そこは、ギターで伴奏して歌を歌う教室ですから、歌を歌わない人にとっては、スチール弦のフォークギターは、メリットがありません。指先が痛いだけ。
フォークギターでロック? 指にやさしいエレガット!
私が1番困ったケースは、スチール弦のフォークギターを持って来ているのに、ロックをやりたい、しかし、歌は英語なので歌わない!という年輩?中年族でした。
これは、バレーボールやりたいから、とバスケットボールを買って持って来る人でしょうか?(上手い!座布団5枚!?)
確かに、フォークギター同様、バスケットボールでバレーボールするのは指が痛い?
私の教室でも、昔から初心者のために楽器店で待ち合わせして、私がギターを選ぶこともありますが、その際、アコースティックギター系は、すべてエレガット(エレクトリック・ガットギター:ナイロン弦のエレクトリック・アコースティックギター/英語名:Acoustic-Electric Guitar)です。
ナイロン弦は指先に優しいし、いくら練習しても、そうそう汗で弦がサビません。 クラシックはもちろん、ジャズやボサノバと言ったジャンルにも対応できます。
エレクトリックにするのは、バンド演奏でも可能。 アコースティックギターの場合、バンドにドラムでもいたら、客席まで、ギターの単音のアドリブの音は良く聞こえませんから、アンプを通して弾かないと、アコースティックギターは使えません。
ギターの前に、歌手のようにマイクを置く程度では、ドラムの音に負けてしまいます。
私の場合は、アンプに繋いで、さらに、そのアンプの前にPAマイクを置き、アンプの音を拾うことにして、単音のギターアドリブでもドラムに負けないようにセッティングしています。
こうした発展性、将来も見越して、エレガットを選択して生徒に渡すわけです。 初心者にとっては、ギターは、エレキも含めて、見た目でしか購入しませんから、ガットギターのようなクラシックギタータイプは、どれも同じ色で好みに合わないからかもしれませんが、歌を歌う気もなのに、フォークギターをギター教室に持って来る、ということは、ギター教室に取っては、何かと不都合ではあるわけです。
両立できないフォークギターとクラシックギター
もちろん、上達すれば、スチール弦のフォークギターを所有してもいいでしょうが、クラシックギターとの併用は厳しい。 クラシックギターは、右手の爪が命ですから、ライブやコンサート前に爪が割れてはアウトです。 フォークギターは、やはり、ピックを持ち、ストロークしながら、歌を歌うのに適してます。あるいは、右手の爪を伸ばさないでのアルペジオ奏法。
しかし、これも歌の伴奏のため。 独奏スタイルで、メロディも伴奏も弾くスタイルもありますが、そもそも指先の痛さを我慢する根性?がありませんし、、。 確かに、女性でもスチール弦のフォークギターを弾いてフォークソングを歌っている人が、1960年代の日本のカレッジ・フォークソングのブームからいました。
○森山良子:この広い野原いっぱい https://youtu.be/BZBbi7bUa3M
たぶん、それは、どうしても歌いたい、という気持ちから、ギター初期の多少の指先の痛さを我慢できる”根性!”があったのでしょう。
現代は、ただ、ギターでも弾けたらいいな、程度ですから、初日に、指先が痛い、という体験での1日挫折、三日坊主が当たり前になったわけです。
クラシックギターには、6歳からギターを始めた、という天才少年少女たちもいますが、みんなナイロン弦のクラシックギターです。
アルアイレとアポヤンド奏法の違い
右手の指で弦を弾く際には、クラシックギターでは、基本的に二つの奏法があります。
1:apoyando(アポヤンド)奏法
スペイン語で「寄りかかる」という意味から来ています。右手の人差し指、中指、薬指で、弦に触れて、上方に引っ掻いて弦を弾(はじ)く際、上方の隣の弦をストッパーにして止める。これにより、音を力強く強調して弾けるようになります。ベーシストも1音1音、アポヤンド奏法で弾いています。
1弦を弾いたら2弦に触れて止めます。この要領では、6弦は、ストッパーがいませんから、アルアイレ奏法になります。(後述)。しかし、気持ちは、”強調”する意識で指を動かします。
右手親指の場合は、動きは逆になり、下方の弦がストッパーの役目をします。6弦を親指で弾いたら5弦がストッパーになります。この場合も、1弦は、アルアイレ奏法しかありませんが、気持ちは”強調意識”です。ジャズギタリストのウェス・モンゴメリー(”Wes” Montgomery、1923年3月6日 – 1968年6月15日)は、右手親指だけで弾いているという事で有名ですが、単音のソロは、すべてアポヤンド奏法を親指で行っていることになります。
2:al-aire(アルアイレ)奏法
スペイン語で、「空へ」という意味。一般に、ギター初心者がギターの弦を弾(はじ)くと、アルアイレ奏法になります。ストッパーとなる隣の弦はありません。隣の弦に触れないように弾く奏法です。アルペジオ(分散和音)などの伴奏で、音を切らずに持続した時に使用する奏法です。
通常、アポヤンド奏法もアルアイレ奏法も、右手の爪を5mm程度伸ばして弾きます。しかし、爪でフォークギターのようなスチール弦(鉄弦:1、2、3弦)を弾くと爪がすぐに割れたり、裂けたりしてしまいます。特に、音を強調するアポヤンド奏法が危険です。本番前の練習で、爪が割れてしまっては意味がありません。
古典的奏法では、右手に指の爪を伸ばさずに弾く”指頭(しとう)奏法”がありますが、これは、温かみ(warm)のある音は出ますが、音色のバリエーションはさほどつけられません。親指だけで弾く感じによく似ています。
近代のクラシックギターは、爪が命で、爪により様々な音色を生み出しているからです。
この事から、フォークギターの場合は、”フィンガー・ピック”と言って、指にピックを取り付ける方法で、スチール弦でアルペジオを弾いたりしています。カントリーミュージックのギターでは必須アイテムであったりします。
尚、フィンガーピックを付けて、アポヤンド奏法をする事は不可能ですから、フォークギターでのアポヤンド奏法はありません。すべてアルアイレ奏法で単音を弾くことになります。
親指だけに着けるサム(thumb:親指)ピックだけを利用してエレキギターを弾くロックギタリストも多くいます。他の指は、爪を伸ばさずにアルペジオなどに利用しています。
以上の事から、クラシックギタ(ガットギター)ーの代わりにフォークギターで、クラシック音楽を弾く事は、根本的に可能ではありません。稽古の段階で、すぐに自前の爪がダメになってしまうからです。
クラシックギターを本格的に行うには、右手の爪を伸ばしますから、基本的には、ピアノもベースも弾くことは避けた方がいい、という事にはなります。
ピアノの場合は、爪で、鍵盤を傷付けることになり、エレキベースなどは、爪が割れてしまうからです。
私の場合は、ベースもピアノも弾きますが、コンサート2週間くらい前から、ベースは避け、爪には、保護用の透明のマニキュアなどを塗っています。
本格的なクラシックギター奏者となると、破損した爪を捨てずに保管し、いざという時に、”瞬間接着剤”などで”付け爪”をするようです。
こうした事から、楽器の事を何も知らない初心者に、簡単にフォークギターを勧められると、困るのは、そのギターを持って現れるギター教室の先生です。
もちろん、歌を歌うつもりで習うならベストなギターではあるのですが、ソロギターとなると、フィンガーピックを利用したカントリーミュージックのギター奏法の方が適した奏法、という事になりますから、アポヤンド奏法は、存在自体からして消滅します。
付属チューナーのピッチ問題
また、こうした、指先痛〜い!というギター問題に加えて、チューニングをするチューナーの問題があります。
現代のピッチの主流は、ピアノの調律もA=442です。 昔は、A=440でした。だから、ギターや三味線をチューニングする調子笛から音叉は、A=440ばかり。 しかし、現代では、通用しません。
そんなわけで、そんなピッチのチューナーをフォークギターのついでに売りつけても困ります!
調子笛や音叉などは、ピッチを変えることができません。安いデジタル・チューナーの中には、A=440 ,442と言ったピッチの切り替えもできず固定ピッチのものもあるのでやっかいです。
ちゃんと、A=442のピッチのものを買いましょう!
初心者にフォークギター!?注意!
というわけで、私は、ジャズに関係なく、初心者対象のギターレッスン(月二回、1回1時間)のコースもやっているため、ギター教室関係者として、特に女性や子どもの初心者は、ガットギターを購入することを提唱します。
そうすれば、近所のクラシックギター教室にも通えます。 歌う気もない人は、フォークギター教室に来ても先生も困ります! (歌う事は音感トレーニングもなります!)
そして、全国の楽器店の店員さんも、ちゃんと初心者用のマニュアルやアンケートをしっかり取ってフォークギターを販売しましょう!
歌を歌う気もない人にフォークギターを売りまくった結果、1日での挫折者続出。購入したばかりのギターは、以後、その人のお葬式まで?お蔵入り😭。
これを再び開けるのは次世代の犠牲者。 「息子が昔、購入したギターがあるのでギターを習いたい」と来た母親も、スチール弦のフォークギターの指の痛さに1日で挫折。
もう、いい加減、“初心者はガットギターから!”を定着させた方がいいでしょう。
私の教室なら、”初心者は、ゆくゆくのバンド活動、セッション参加なども予測してエレガットから!”になります。 (もちろん、最初は、ある物で間に合わせますが、、)
エレキギターの選び方 要注意、アーム付きエレキギター!
ちなみに、生徒がエレキギターを選んで下さい!と来たら、セミアコ(エレクトリック・セミ・アコースティックギター)を選びます。(英語:A semi-acoustic guitar or hollow(ホーロー:中が空洞の)-body electric (稀に thinline)
”セミアコ”のエレキギターは、エレキギターなのに空洞があるギターです。かといって、アコースティックギターほどの大きさの空洞を持つエレキギターの”フルアコ・ギター”「英語:Fully hollow-body electric guitar」 )ほどの空洞ではありません。フルアコの4分の1ほど?の空洞のギターです。
また、セミアコのエレキなら、ロックでもジャズでも、ブルースでも、あらゆるジャンルに対応し、活躍できるからです。
私のギター教室は、”あらゆるジャンルに対応できるギタリスト”を育成することを目的としていますから、セミアコのギター1本だと経済的にもいいわけです。
実際、セミアコのエレキの愛用者は、ブルースのBBキングに始まり、カントリーのチェット・アトキンス、ロックバンドのイエスのスティーブ・ハウ、スタジオミュージシャンのリー・リトナー、ジャズのジョン・スコフィールドと、あらゆるジャンルにいます。
もちろん、マイク・スターン(ジャズギタリスト)のようにストラットキャスターでもかまいません(私も所有しています!)が、アームは、マイク・スターン同様使用しません。
(ロック&ブルースギタリストの故・ロリーギャラガーは、ギターのボディ裏にあるアームスプリングを針金で縛っていて、使えないようにしています。アームを使うとチューニングが狂ってしまったりするからです。当時は、ギターに取り付けるチューナーがなかった時代です。チューニングが狂うと、すぐに耳でチューニングをしなくてはいけません。)
ジャズでの繊細なコードは、演奏中のアーム使用でチューニングが怪しくなったら、まずいからです。(狂った音程のコードで伴奏したら殺されます!)
楽器店販売員の心得/フォークギターをナイロン弦に?
販売したギターをこの主婦は、どうやって練習するのか?、指先が痛くなるのは知らないのか?、と言ったことへの配慮をし、歌嫌いであるのか?などのアンケート調査をちゃんとして販売しましょう!
「このスチール弦のフォークギターは、最初は、指先が痛いですよ!痛さに耐えられる根性はありますか!?」ということをまず、初心者として購入するお客さん、特に女性や子供には、事前に告げて販売しましょう!でないと、その夜で、お客さんは、ギターを断念し、以後、ギターは、墓場まで、、、です。
私の教室を推薦する場合は、購入する前に教室に入会し、私に選ばせたらいいです!とアドバイスしたらいいです。
フォークギターの弦をスチール弦からナイロン弦にできるlと言う話しもありますが、様々な不都合があるようです。
1:ナイロン弦は、スチール弦より太いので、ヘッド側の弦が通るナットを取り換えて溝を広げないと、弦がすぐ切れたりするようです。
2:ナイロン弦は、スチール弦より太いので、ブリッジ側の弦高も高くしないと、ボディに弦が触れてしまいます。
3:アコースティックギターは、スチール弦の張りに耐えうるように頑丈に作られているので、ナイロン弦の微妙な振動を察知するような繊細さはないようです。繊細さは、ギター全体の重量にも関わっています。ガットギターは、フォークギターより、はるかに軽いものです。(エレガットは、マイク搭載なので、通常のアコースティックギターよりは、多少の重量はあります。)このため、フォークギターに張られたナイロン弦ギターの音は、ペンペンぺ~ンといった。スカスカな音になるようです。
以上の事から、フォークギターにナイロン弦を張ると、改良費も掛かり、また改良したとしても音が、さほど響かない音になるようです。
また、フォークギターのネックの表面は、エレキギタード同様、かまぼこ型でカーブの盛り上がりがありますが、ガットギターのネックの表面は、平らになっていますから、簡単に移調ができるカポダストにも違いが出ます。
カポダストの弦を押さえるバーが、かまぼこ型用にカーブが入っているフォークギター、エレキギター用と、平板なクラシックギター用のものがあります。
子供用のギター選び
尚、小学生は、父親の影響からか、エレキギターから始めるメタル少年、ベンチャーズ少年もいますが、エレキギターの弦は、細いソフトな弦が主流ですから、握力もいらないので、子どもの指には優しいかもしれません。
エレキギターのスチール弦は、フォークギターのスチール弦に比べて、細く柔らかいので弾きやすいわけです。 こうしたエレキギターの弦をフォークギターに利用する、という方法もありますが、コードを弾いた時、ペラペラであまり良い音はしません。
また、子、フォークギターのスチール弦部分の1,2,3弦のみを使用してコードを弾かせる方法もあります。4,5,6弦は使用しないわけです。
私でさえ、?いまだに、ミニギター愛用者ですから。ウクレレと違い、ちゃんと6本の弦があります。 ただし、小さいので移調楽器になりますから、通常のギターとは、キーが違います。
通常のギターの6弦がE音なら、ミニギターの6弦は、A音です。以後、5弦がD 音、4弦がG 音、3弦がC 音、2弦がE音、1弦が A音になります。
各弦の音が、通常の音より、完全4度高いわけです。6弦:E →A , 5弦:A →D,4弦:D →G,3弦:G →C,2弦:B →E ,1弦:E→ A
通常のギターより、4度(完全4度)低いチューニングになります。
通常のキーがCのキー(ハ長調)だと、ミニギターなら、C↓B↓A↓Gと4度低いキーのGのキー(ト長調)になります。
このミニギターのデメリットをしいて上げれば、移調楽器ですから、みんな(ピアノ、通常のギターなど)と同じ譜面ではなく、ミニギター用の別のキー(調性)の譜面に移調している譜面を見ないと、一緒には演奏できない、という点でしょうか。この点で、同じ曲集を持っていても、すぐには合奏できないわけです。
しかし、先生と生徒という関係での音楽教室では、先生が、さっと移調してくれるので、この問題に関しての不便はなくなります。
幼児の場合、握力のいらないエレキギターから始める子供います。
また、幼児では左手が弦を抑えられないために、ボトルネック(bottle neck:)と言って、スライドギターによる奏法で、左手の指が弦を押さえる力のない弱点を回避する幼児もいましたね。
こうした特殊な奏法に対して、通常の指弾き奏法を”レギュラー(regular)”と呼ぶようです。レギュラー・チューニング(通常のチューニング)などからも来ているのでしょう。ボトルネック奏法の場合、チューニングも特殊チューニングにしたりするからです。(レギュラーチューニングでやる人もいます。)
ハワイアン・ミュージックで利用されるキーボードのように弾くスライド・ギターは、単純に、ギターを台の上に寝かして弾いているようなものです。
フォークギターとクラシックギターの使い分け
フォークギターは、ピックで弾いて、クラシックギターは、指で弾くのが一番です。
私が編曲した曲集で「ソロギターで奏でる日本の童謡と唱歌」(2018年11月16日出版:リットーミュージック社刊)がありますが、これは、フォークギターでもクラシックギター(ガットギター)でも弾けるように、すべてをアルアイレ奏法(隣の弦に触れないで音を持続させる奏法)で可能なように編曲してあります。
「禁じられた遊び」というクラシックギターの定番の曲がありますが、これは本来は、1弦で弾くメロディだけは、アポヤンド奏法(隣の弦に触れてストッパーにする。音を強調する時に使用)で弾いて、2弦3弦の音は、伴奏のアルペジオなので、ここはアルアイレ奏法ですが、この曲を独習でマスターしたアマチュアのギタリストの大半は、1弦上のメロディにアポヤンド奏法を全く使用せず、すべてアルアイレ奏法で弾いています。
一方、カントリー・ミュージックのギターの世界では、メロディとアルペジオを分離させる弾き方をしません。これは、そもそものスチール弦の音が、ナイロン弦ほどのバリエーションがなく単一だからです。つまり、アポヤンド奏法とアルアイレ奏法の区別は、音の強弱程度で、音色のバリエーションがさほどありません。
しかし、ピック奏法自体、本来、アルアイレ奏法見たいなものです。
この事からフォークギターでは、完全なクラシックギターの練習は、アポヤンド奏法ができないためにできまぜん。
プロギタリストの場合は、ガットギターは、温かみ(warm)のある音やボサノバ、クラシック風を出すために使用し、フォークギターは、カントリー風な感じを出すために使用します。人間の感情が出やすいガットギターよりは、無機質でクールな感じを与える、フォークギターの方が現代では好まれる傾向にはあります。
この事から、喜怒哀楽を表現するアポヤンド奏法を使用するクラシックギターの世界よりは、単一な音色でもアルアイレ奏法だけで現代的な、クールなサウンドを表現するフォークギターの方が、時代を超えて、”普遍”なサウンドを表現できるでしょう。
何か、クラシックギターは、頑固で扱い方が難しい父親で、フォークギターは、父親の弟のクールな遊び人がイメージの”叔父さん”の関係かな、と。
クラシックギターは、”時代の音”を表しますから、その時代、時代の人の音が現れてしまいますが、フォークギターは、クラシックギターの時代からすると”ロボットギター”です。
ロボットの音は、時代を超越します。
エレキギターの音も同じですね。
それは、喜怒哀楽を表現できない性質があるために、。無機質なんですね。
無機質なものは、時代の色に染まらないからですね。
しかし、クラシックギターのように、時代の音が表現できたら、その時代のスター!にはなりますから、フォークギターをクラシックギターの選択の違いは、この違いでだけです。
地道な音楽表現をしたいなら、フォークギター。様々な思いをギターに託したいならクラシックギターです。
ここでわかったのは、アポヤンド奏法は、今や、クラシックギターの世界にしか存在しない、昔の諸君技ののかもしれません。
アポヤンド奏法を学びたかったら、クラシックギターを購入して、クラシックギターにチャレンジして見て下さい。
音楽に個性はいらない!、いつの時代にも通じる、無機質で普遍的な音で音楽をやるんだ!という人は、フォークギターやエレキギターを購入して下さい。
このコラムを読む前にフォークギターを購入した親子へ:弦の種類
挫折者には、違いがありますl
指先が痛くて、一日で、ギターを挫折する母子のケースと、そもそもからして、修行事がダメな男子中年のケースがあります。両者は全く違うタイプです。
指先は痛いです。
購入してしまったものは仕方ありません。弾くしかありません。
1カ月も我慢すれば、何とか痛さにも慣れるでしょう。
とにかく柔らかい弦を購入して張って下さい。
弦の柔らかさはは、弦の太さで決まります。
「ゲージ:gauge(針金の太さ、金属版の厚さ、弾丸の直系など)」という単位で表しています。
heavy gauge(重量鉄骨)、light gauge (軽量鉄骨)、regular gauge、medium gauge、compound gauge(連成計:複合物、化合物)などと、様々な名前がついていますが、すべて弦の太さ別に分けた名前です。
初心者ですから、店員さんに「一番、柔らかい弦を下さい!」ととりあえず言うしかありません。また、購入する際、最初からフォークギターにセットされている弦は、「一番柔らかい弦」ではないですから、取り換えて貰いましょう!(あっ!ここは、購入してしまったケースでした!)
初心者ですから、自宅に持ち帰ってから弾くしかありません。(店内で弾いたら、すぐに「指先が痛~い!」とわかり買わない確率が高いでしょう。)
どうしても痛いなら”根性”を付けるためのマシーン!と考え、毎日、少しずつ触れて慣れましょう!
音感トレーニングとしてのギター活用法
以上、フォークギターのデメリットばかりを書いたように思えるでしょうが、フォークギターは、歌を歌うための伴奏楽器として考えれば、”音感トレーニング・マシーン”としては、かなり優れた楽器です。
楽器で伴奏できる、という事は、カラオケの練習にもなります。わざわざ大そうなカラオケセットを買う必要もありません。
歌のトレーニングにもなって、ギター伴奏までマスターできる、という事は、一石二鳥!
指先の痛さに成れ、ギター伴奏で歌える曲のレパートリーもできたら、いよいよ音感トレーニング用の曲集、拙著「童謡を聞くだけで音感が身につくCDブック」を利用し、好きな曲の階名唱法を覚えながら、ギターで伴奏しながら歌って見るとよいでしょう。
この伴奏のコード進行は、ハーモニー感も鍛える意味もあるので、洋楽のジャズやボサノバなどの和音に乗せて童謡、唱歌を歌えるようにしています。
明治時代から、知られている、こうした童謡、唱歌で育ったにも関わらず、日本人は、貧しいハーモニー感と日本人独特のリズム感で、長年、ロックやジャズ、クラシックなどの西洋音楽とのギャップに苦しみました。
こうした弱点を本書では克服し、日本人によく知られたメロディを利用して音感を鍛える最適の音感基礎テキストに仕上げています。
まずは、移動ド唱法にチャレンジし、ギターで伴奏して、様々なキーで歌ってみましょう!
ギターでのギターソロにチャレンジ!
歌の伴奏に慣れたら、いよいよ、ギターソロにチャレンジしましょう。
この曲集は、「童謡を聞くだけで音感が身につくCDブック」の曲と全く同じ20曲です。
基本的には童謡唱歌をギターソロで聴くための鑑賞用として付属CDは制作していますから、CDだけでも聴いて、ドレミの階名唱法を思い浮かべるといいでしょう。
演奏チャレンジは、階名唱法をマスターした好きな曲からチャレンジして見ましょう!
これは、アルアイレ奏法(次の弦をストッパーにしない奏法)だけで弾けるように編曲されていますから、フォークギターでも大丈夫!
爪を伸ばす必要もありません。指頭奏法(爪なし奏法)でも可能ですし、上級者は、フィンガーピックを各指にはめてチャレンジしてもいいでしょう。(最初はサムピックから)
もちろん、右手の爪を伸ばしてガットギター(クラシックギター)でも弾けますし、アポヤンド奏法を利用したければ、ところどころの単音フレーズの箇所などで利用できます。クラシックギターのコンサート用レパートリーとしてマスターしてもいいでしょう。
まずは、1日1小節!をモットーに頑張って下さい。
ギターは、どこでも気軽に弾けて、楽しいですよ~!
追記:
現在のところ、ギターを幼児や小学生の子供に無理やり?教えることはしておりませんので、まずは、お父さん、お母さんが、教室で学び、それを子供に教えてあげるとよいと思います。かなりのやる気ある子供の場合は、検討して見たいとは思います。
2020年 11 月未明